歩き始めたと思いきや、歩くよりも飛び込みが流行ってしまい、さらにはハイハイまでバージョンアップしてしまった。
見守る方としてはさすがに疲れる時もある。
そんな時にタイミング悪く妻に予定ができてしまい、私一人で息子を見るしかない状況になってしまった。
「いってらっしゃい」を言うことが、こんなに気が重いとは。
我が家では寝室を危険な物を一切置かない息子にとって安全な部屋にしている。
本当は育児を怠けたかっただけなのに、「私が疲れている状態では息子の安全を守りきれない」という大義名分を掲げて、息子と二人で寝室に篭ることにした。
寝室に篭っている間、息子には申し訳ないけど一人で遊んでもらって、その間私は隣でちょっと横にならせてもらうことにした。
しかし、寝室は狭いし、安全すぎて刺激がないし、息子にとっては退屈な時間だっただろう。
「うーうー」「あーあー」と扉を開けて寝室から脱出させろとアピールしてくる。
息子には悪いと思いながら、私は目を瞑って寝たふりを続けていた。
すると、「うーうー」の声がどんどん近づいてきて、うつ伏せで寝ている私の背中に明らかに”息子くらいの重さの何か”が乗ってきた。
背中に乗っているのは100%息子なんだけど、それでも”息子くらいの重さの何か”だと自分に言い聞かせて寝たふりを続けていると、諦めてくれたのか私の背中の上からコロンと降りてくれた。
息子の状態を確認するために薄目を開けてみると、私の隣でうつ伏せになって私の顔を覗き込んでいる。
そして、目が合った瞬間にニコって笑いかけてきた。
そんなことされたら期待に応えるしかないないじゃないか……
「うーうー」「あーあー」大きな声で叫んで強行突破するしか意思疎通できなかったのに、自分の可愛さを最大限に活かしてくるようになった。