息子と妻と私
いよいよ退院の日。
息子と生後20分に抱っこした以来、1週間ぶりの対面。
今日まで長かったな……1週間が長く感じすぎて、会わない間に大きく成長してしまったのではないかと、バカみたいなことを本気で考え出していたところだった。
もちろん1週間で大きくなるなんてことはない。
むしろ、実際に対面すると大きくなるどころか、小さくなっていると思うほど小さくて、体は細くて肌はやわやわで、1週間ぶりの息子を前に抱っこどころか触れるだけでも緊張するほどだった。
妻とも一週間ぶりの再開。
妊娠中のパンパンに大きくなっていたお腹を懐かしく思いながら、この10ヶ月息子を守ってくれたお腹に感謝しようと改めてお腹を見ると……大きなお腹のままだった。
息子はここにいるし、いったい何が入っているんだ。
恐る恐る大きなままのお腹を触っってみると、出産前のパンパンに膨らんだ張りがあるお腹とは違って、ポヨンポヨンでだるんだるんで水風船みたいなお腹だった。
出産したからといってすぐに小さくなるわけではないらしい。
このお腹は元に戻るのだろうか……
ポヨンポヨンのだるんだるんでも妻はムーミンみたいだと楽しそうにはしゃいでいるから、戻る戻らないの心配はいらないのだろう。
手続きなどを済ませて、いよいよ退院。
退院ということは、今までみたいに医師や看護師さんに助けてはもらえなくなるということ。
そのことに気付いてしまった……
何か起きたらと考えれば考えるほど不安になる。
コーヒーでも飲んで一旦落ち着こう……としたら、そんな時間は無くて、さっさと帰って授乳をしないといけないらしい。
子供が産まれると不安に浸っている時間もないのか……心配性の私にはこのドタバタが逆に良かったかもしれない。
この10ヶ月間をコロナの中でも無事に守って出産させてくれた沢山の人たちに感謝して急ぎ帰宅した。
家族三人の生活がはじまった。
とはいっても、我が家での初めての育児に妻も私も混乱気味で、家族三人ゆっくりお祝いなどしてる暇もなくあっという間に1日が終わっていた。
今日を振り返ってみると、病院でみっちり修行を詰んだ妻と、how to動画や写真での勉強をさぼり息子の可愛さに浸っていただけの私とでは、育児レベルに相当な差がついていた。
たった1週間でここまで差が開くとは思ってなかった。
テキパキ育児こなす妻を前にマゴマゴするしかない私。
戦力外ギリギリだ。
今日1日、恥ずかしいくらい何も出来なかった。
なのに、ものすごい疲れたという……そんな1日だった。
「では、おやすみなさい」
とはいかないのが母親。
どんなに疲れていても深夜も授乳は続く。
家族三人の生活1日目、母のすごさを思い知った。
1週間分の子育て#149を公開しました
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